麻酔ディスカッションリストでの意見交換

(M.Sanuki) (SAVE RAVONAL)


 麻酔ディスカッションリストでのラボナール製造中止に関するディスカッションは、ラボナールが発売中止となるという通知を受け取った諏訪邦夫先生(帝京大学教授)の「いつまでもあると思うな、親と金とラボナール」というショッキングな話題提供から始まりました。麻酔ディスカッションリストの構成員(発言者)は、私を含め日本全国の麻酔科医であると聞いております。(討論の原本はこちら

このなかから、得られた情報を整理してみたいと思います。

(1)ラボナールが製造中止なった経過

 ラボナール(一般名 チアミラール)は、わが国では田辺製薬が製造販売を行っています。田辺製薬では、これまでもラボナールを製造販売することで採算割れを起こしていたが、医療上の必要性から義務的に製造を続けてきたようです。現在は、この老朽化した施設を使用して、ほぼ手作業の状態で製品を検査、流通させているが、老朽化した製造施設を改築してまでも製造を続けることはできないとの結論に至ったようです。

(2)ラボナールの安すぎる薬価

 ラボナールの薬価は、500mg 約350円 で、最近、台頭してきた麻酔導入薬であるディプリバン(一般名 プロポフォール)の200mg 約2000円という薬価に対して非常に安いのです。わが国での薬価は、毎年の改訂の度に少しづつ安くなっていくのが通例であり、古くていい薬というのはほとんどが申し程度の薬価しかついていません。メーカーのほうでも努力されたようですが、厚生省からは薬価を上げるのは無理だと言われたようです。

(3)ラボナール供給の継続を要求

 ディスクッションリストで、話し合っているうちに大半が、ラボナールの供給継続を要求していくという方向性を持ちました。

理由は、原本をご覧下さい

また、ホームページを利用して、マスコミをはじめ世間の人々に訴える方法も提案されました。公式ホームページとしてDasNETの「ラボナール(TM)(チオペンタール)の発売中止撤回を求めるホームページ」、私的なものとしては、当ホームページをはじめとする数件のホームページがあります。

(4)ラボナールなしの麻酔

 麻酔専門医が、ラボナールがなくなったときに備えて、ラボナールなしの麻酔を研究し実践していこうという意見が出されました。麻酔を専門にする医師にとって、ラボナールなしでも麻酔がかけられるように慣れることは大変重要なことだと思います。しかし、麻酔を専門としない医師にとって、ラボナールが執行猶予期間もなく、突然に製造中止などといわれ、対処できるはずがないと思います。このままでは、麻酔科以外の領域で麻酔事故がおこる可能性があるためラボナールの存続を訴えています。

詳細は、原本をご覧下さい

(5)ラボナールの代替薬剤の使用に関するマニュアル

 麻酔を専門としない医師のために、ラボナールがなくなり代替え薬で麻酔をかけなければならなくなったときのことを考えてみました。麻酔専門医の集団が、このようなマニュアルを作成することで、麻酔を専門としない医師がラボナールなしで麻酔を行うことが如何に困難かがわかり、ラボナールの必要性が再確認できるかもしれません。

 ラボナールがなくなると困ることが多いと予想します。日本の医療現場からラボナールをなくしてはいけません。そのためには、一人でも多くの方が、その気持ちを表明して、草の根の運動を盛り上げていくことが必要だと考えます。

SAVE RAVONAL!!


1997.8.20更新
(M.Sanuki) (SAVE RAVONAL)